2006年11月1日
リウマチの方へのプールリハビリの効果は?

最近、プールで行う運動が人気を集めています。リウマチの方々にも水中で身体負担をかけずに全身運動ができることから多く利用されていますよね。

果たしてプールでのリハビリはどういう効果があるのでしょうか?

きょうはわたしが読んだ「関節リウマチ患者さんへのプールリハビリの効果」に関する海外文献を紹介します。

実はこの文献内容はナーシングトゥディ「ケアの根拠」(10月臨時増刊号1890円)という本にも紹介されています。このうちわたしが掲載しているのは2件だけですが、よかったら買って読んでみてくださいね。

「関節リウマチ患者さんへのプールリハビリの効果」について

【紹介する論文】

関節リウマチ患者への温水プールにおける適度な集中エクササイズ:無作為抽出研究

Moderately intensive exercise in a temperate pool for patients with rheumatoid arthritis: a randomized controlled study.

Bilberg A, Ahlmen M, Mannerkorpi K. Rheumatology. 2005 44(4):502-8, 2005.

この論文の目的は、RA患者さんへのプールエクササイズの効果を評価することです。この論文著者の仮説は、3ヶ月間RA患者さんがプールエクササイズを行うと

①エアロビクスする上での持久力が向上し

②身体機能状態が良くなり

③身体的健康度が増す 

だろうということでした。

プール内でのエクササイズは

45分間音楽を鳴らしながら

適当な強度のエアロビクス、筋肉の動的収縮、静的収縮、上下肢の筋持久力運動、協調性運動と弛緩エクササイズ

を行いました。

結果は、測定した内容はほとんどにおいて参加しなかった人たちより参加した人たちに効果があり、筋力、筋持久力や握力が改善していました。

特に注目したいのは、測定した身体状態の改善だけでなく自記式質問紙SF36の回答結果のうち「活力」や「痛み」の項目に大きな変化があったことです。「活力」項目の解釈は得点が低いと「過去1ヵ月間,いつでも疲れを感じ,疲れ果てていた」で、高いと「過去1ヵ月間,いつでも活力にあふれていた」でした。

リウマチは痛みや身体機能障害がおこるため日常生活の様々な場面で困難があり、どうしても活力ある生活に支障を来し、やがて活動することが億劫になり精神的身体的健康に悪影響を来すことが研究されていますvan Lankveld,1994)。

しかし、この研究の対象者はプールでのリハビリに参加することで、活力を養うことが出来、痛みが減少し、精神面に良い影響を与えたといえます。

つまり簡単に言えば、気分転換にもよいし生活に活気がでるということですね。

今回の研究結果は、対象者が少なかったということや、参加しなかったグループが行っていた家庭でのリハビリの実際を把握していないことや、結果に影響を与えたかも知れない対象者がもともと持っていた動機付けの差なども測定できていません。これらのいくつかの限界はあったものの、この研究はプールでのリハビリの効果を検証している貴重な文献だとおもいます。

このような研究を重ね、リウマチ患者のリハビリ効果を国や行政に訴えていく必要があると思います。


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