2006年6月26日
看護師が予防できる院内感染

きょうは 院内感染 のお話をしましょう。

院内感染とは、

患者さんや医療者が病院内で何らかの菌に感染 することをいいます

感染するからにはその原因があります。

でもこれは出来るだけ防ぐことも出来るのです。

きょうはある事例に関してわかりやすく説明しようと思います。

ある病院で、多剤耐性緑膿菌(MDRP:multiple-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa)の院内感染が広まりました。

多剤耐性の菌ですからこの場合の菌は、抗生物質に抵抗性を示すため菌が体に入ってくると感染症にかかりやすいということを意味しています。

この院内感染の原因をたどっていくと、患者さんの尿中からと簡易トイレを洗うため使っているブラシから同じ菌が検出され感染ルートが明らかになったそうです。ブラシで簡易トイレを洗いその後水洗いだけし簡易トイレは消毒などはしていなかったようです。

院内感染が何らかの菌によると書きましたが、菌の種類は細菌検査をするとすぐに同定されます。

そしてさらにその菌の遺伝子を調べることでその病原菌の特異的な遺伝子が判明でき、どういう経路で感染に至ったかがわかるのです。

どうやら最初の患者さんに使った簡易トイレをブラシで洗い、そのブラシで別の患者さんの使った簡易トイレを洗ったことが原因だったようです。そうして次々と感染したようです。

何が最初の感染源かおよそわかるのですからまるで事件を暴く警察や探偵のようですよね。

通常の緑膿菌は、流し台や花瓶の水や生野菜・吸入器などでは検出されます。そして弱い菌なので通常はあまり問題にはなりませんが、この菌が血管内カテーテルや尿路カテーテルなどにはいると感染症を起こします。

それから、体の抵抗力の弱った人、抵抗力が低下するような疾患のひとや、手術後のひと、免疫抑制剤を投与している人などは、他の人にとっては弱い菌でも感染を起こしやすいのです。

その後、この病院ではこの簡易トイレのブラシは使い捨てにし簡易トイレは熱湯消毒することにしたそうです。

感染経路として問題となっているひとつは菌が医療従事者の手から手へと移ることです。

最もおおく患者さんに接する

看護師がちょっと気をつけたらずいぶん院内感染は防げるのです

この簡易トイレの熱湯消毒をするようになったという話を聞き、NHKドラマの「チャングムの誓い」を思い出しました。

朝鮮半島の宮中内で疫病が流行った原因が、黄砂で食べ物が傷むことにあり、女官見習いのチャングムがまだ小さな子どもにもかかわらずお皿を熱湯で洗い予防した という話です。

熱湯で洗うと、大抵の菌は死滅します。

食中毒が起こりやすい季節なのでついでに・・・

食品は75度以上1分加熱するとほとんどの菌は死にます。

しかし芽胞を持つ菌は100度以上でも生きるものがいます。ですから手洗いを励行し菌を予防しましょう。

菌が好む温度は37-40度。人間と同じ温度ですよね。ですからこの温度で食品を置いておくと菌も繁殖しやすいのです。


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