原因・診断

リウマチについて

リウマチといえば、一般的には「関節リウマチ」のことを指します。しかし「リウマチ」は広い意味では、「関節や関節の周囲の骨、筋肉などが痛む病気全般を指し、多くの種類の病気があります(文献1) 。このわたしの部屋では「関節リウマチ」を中心として記述します。リウマチという病名は、英語では「Rheumatoid Arthritis」といいますので、私たち医療者は「RA」と省略して呼ぶ事が多いです。そもそもこの語源は、ギリシャ語の「rheuma(リューマ)」”流れ”という意味から来ているそうです。その昔、痛いところが次々と変化したり、悪い液体が全身を流れ関節などに貯まって痛むから、という意味から付いた名前だそうです。
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原因

原因は今も不明ですが、徐々に解明されつつあります。RAは免疫が主な原因だと言われ、自己免疫疾患(注1)の一つとなっています。HLA(Human Leukocyte Antigen:主要組織適合性抗原)という細胞レベルで、他と自己を見分ける遺伝子が関連していると言われています。しかし、これだけではなく環境因子(ストレス・人生の中での大きな出来事・ウイルス感染など)も関係していると言われています。

頻度

70~100万人に一人程度と言われていますが、潜在的な人を数えていないので、実際はもっと多いと言われています。日本では人口の0.5%、欧米諸国では人口の1%と言われています。男性より女性のほうが4~5倍多く、30~50歳代に一番多く発症しています。

診断

最近では、病気の初期に診断・治療を始めると、その経過は断然良いと言われています。しかし、その「初期の診断」がとても難しく、患者さんを苦しめています。多くの場合、以下に示す「アメリカリウマチ学会」の指標をもとに診断されるのですが、ご覧のように6週間以上経過を見る必要のある項目があります。又、この項目通りでない症状があっても、結局数ヶ月経過してみるとリウマチであったりもします。反対にリウマチだろうけれどこの項目基準にはっきり当てはまらない為に、診断がつかず治療がなかなか始められないケースもあります。

【リウマチの診断基準(アメリカリウマチ学会) 】

  1. 朝のこわばりが少なくとも1時間以上続く。
  2. 全身の3つ以上の関節に腫れがある。
  3. 手の関節に腫れがある。
  4. 左右対称の関節に腫れがある。
  5. レントゲン検査で手や指の関節に変化がある。
  6. 皮下結節(リウマチ結節)がある。
  7. 血液検査でリウトイド因子が検出される。

1~7のうち4項目当てはまれば診断
1.2.3.は6週間以上続いていること

文献1:西岡久寿樹「徹底図解リウマチ―がまんできない痛みをコントロール」(目でみる医書シリーズ),法研, 2001.
注1:自己免疫疾患:生物には免疫の仕組みがあり外部から有害異物が侵入してくることに対して防御する機能があります。本来自分自身は攻撃しないようになっているのですが、自分をも攻撃するようになってしまう免疫機能のことを言います。